国際分散投資の威力

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http://www.pfa.or.jp/jigyou/pfaport.htmlに、厚生年金基金連合会のポートフォリオの内訳が書いてある。面白いので、ちょっと加工してみた。

ポートフォリオ日債日株外債外株期待収益率標準偏差
H11のポートフォリオ42%33%7%18%6.99%11.31%
H14のポートフォリオ37%33%7%23%5.07%9.79%
日本株のみ0%100%0%0%7%24%
さて、3つのポートフォリオを10年間持ち続けた場合の結果を計算してみた。計算結果に間違いを見つけたらぜひご指摘ください*1
ポートフォリオ期待収益率標準偏差損する確率
H11のポートフォリオ96.53%35.77%0.35%
H14のポートフォリオ63.98%30.96%1.94%
日本株のみ96.72%75.89%10.13%

「H11のポートフォリオ」と「日本株にのみ投資するポートフォリオ」を比較すると、期待収益率はどちらもほぼ同じながら、リスク(標準偏差)が大幅に違うために、収益のブレが大幅に違う結果となる。日本株に10年投資した場合、10%以上の確率で損をするが、国際分散投資した場合は、損する確率はその30分の1近くに減少する。期待収益率がマイナスなデイトレードは論外なので、ここでは取り上げない。

米国株を、1929年の暗黒の木曜日の直後に買った場合、元本を回復するのはその約40年後である。日本株を、1989年の年末に買った場合も、回復までそのくらいかかるかもしれない。特定の国の株にのみ投資するのは極めてリスキーだ。

また、株価は基本的には企業の業績に連動する。株価収益率(PER)*2はだいたい15〜20くらいが相場なのだが、日本株のPERは30年くらい前からこの範囲を逸脱し、跳ね上がっていった。バブルの頂点では60とか80だったし、10年前でも30〜40くらいだった。5年くらい前から正常範囲に戻る銘柄が増えだし、市場平均が正常範囲に戻ったのは、最近になってからだ。ファンダメンタルズから言えば、1975〜1998年は、日本株を買うべきではない時期と言える。



10/23付記
id:a-kun:20041022 にて、個人投資家には調査コストも大きいという補足をいただきました。お忙しいところありがとうございます。
それから、国際分散投資だけではなくて、時間分散もありだよなと、後から思いつきました。わたしは1998年年末から(つまり銀行での投資信託窓口販売解禁と同時に)、毎月定額で某国際株式型インデックスファンドを買い付けている。ファンドの設定来騰落率は-23.6%だが、実際の損は手数料を入れても8%程度だ。
2005/2/19追記:
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*1:10年後の標準偏差を、\sqrt(10)×一年の標準偏差で計算したが、複利効果を考えると不適切な気がする。

*2:株価/1株あたり純利益