秋は署名の季節

二ヶ月くらい前、会社に行くと共働きの後輩が学童*1の署名を集めていた。広島市の小学生の放課後対策は、「留守家庭子ども会」(いわゆる学童)と、児童館(全小学校の三分の二程度の敷地内または隣接地にある)の二本立てである。児童館は、原則として*2学童以外の子は帰宅後でなければ来ていけない。多くの学童は、児童館の二階で開設されているが、一部の小学校では空き教室でやっている。
学童は定員があるが、保護者が全員外勤で、週4日以上勤務でなければ利用できない。だから共働きでも親が自営、パート、自由業だとはじきだされる。
うちの子たちは最初は喜んで通っていたが、やがて嫌がるようになった。それでも行かせていたのだが、夏休みを過ぎたところでやめることにした。最後の頃は、半分も行っていない。親の安心のために子どもに無理をさせていたと、後に反省した。
親にとっては、学童にはいい記憶はなかった。どこの学童にも父母会があって、上位団体のヒエラルキーの下部を構成しており、上位団体関連の活動の負荷が高い。この構造自体はPTAにも共通するのだが、PTAとの違いは特定の価値観の元に、運動を強制させるところにある。情報は上から落ちてくるのを丸呑みするだけなので、例えば学童は素晴らしい所だけど全児童対策*3は悲惨だ、という情報しか流れない。実際には施設によりまちまちなのだが。
市に問い合わせたところによると、児童一人あたり月二万円のランニングコストがかかっている。だが利用料は無料だ。ほとんどの利用者は両親がフルタイムで働いていて、子どもが保育園の頃は、月2,3万円の保育料を払っていたにも関わらず。
親を利用料無料維持というエサで釣っておいて、その実は職員の労働運動に利用する。だから、預かり時間(17:00)を延ばせと言うと、職員の増員の方が先と言ってはねつける。広島市のいわゆる無駄な公共事業はほとんどストップしてしまったし、そろそろ学童の有料化も避けられない情勢だが、それでも学童の運動は変わらない。うちには保育園児もいるわけだが、こいつが小学校に入る頃には、事情が変わってくれることを祈っている。

*1:在宅の親がいない小学生を、放課後や長期休暇中に世話する所。

*2:児童館によっては、親のサインがあれば下校時に来館して構わないが、通常の開館時刻より早く帰らなくてはいけない、という運用をしている所もある。

*3:放課後や長期休暇中に小学生が過ごす場を、空き教室等に提供する。