調査は徹底させて
- 作者: 安部誠治,鉄道安全推進会議
- 出版社/メーカー: 日本経済評論社
- 発売日: 1998/05/01
- メディア: 単行本
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信楽事故の解説も圧巻だが、NTSBの解説はむしろそれ以上。NTSBは航空事故や鉄道事故について、監督官庁と独立に活動し、調査・勧告・勧告のフォローを行う。処罰する権限も、勧告に従わせる権限もない。だがそれ故に、徹底した調査と調査経過の公表によって、高い権威を誇り、結果として安全を守ると言う特異な組織だ。
「マッハの恐怖」で描かれた1966年春の連続航空機事故あたりと比べると、ここ四半世紀ほどの事故調査の結果には、突っ込みが足りなくて不満が募る。著者らの活動にはエールを送りたい。
それにしても米国で麻薬が原因で起きる鉄道事故の多いこと。70-300という試験を受けたら、「麻薬で操業取り消しになった運転手が、休業中にちゃんと麻薬から足を洗えているかどうか管理するシステムの設計」というお題が出て面食らったことがあるが、米国ではありふれたシステムなのだろう。