本当に厚生年金は年4%で運用できるのか
厚生年金の期待収益率が4%という数字がずっと気になっていた。野口悠紀雄がたびたび指摘している、割引率の計算ミスが頭にあるからだ。そもそもどのようなポートフォリオで運用するつもりなのか、どの程度のリスクを見込んでいるのか、気になって検索してみた。
年金の基本ポートフォリオの内容は、厚労省のサイトに公開されている。ただし、各資産の予想収益率はこのページにはなく、新生銀行のサイトで見つけた厚労省の資料から引っ張ってきた、1973〜1999年の実績資料の数値を使うと計算が合った。
しかし、この過去の実績が今後も通じるかと言うと非常に疑問だ。経済成長の中身は、労働力の伸びと、生産性の伸びである。世界的な少子化で、労働力はやがて減少に向かう。住友信託銀行の401Kのサイトが提供するシミュレーションが使用する期待収益率は、国内債券1.5%、国内株式7.0%、国際債券2.9%、国際株式6.3%となっている。この数値を年金の基本ポートフォリオに当てはめると、期待収益率は2.6%となった。
更に厚労省に喧嘩を売っているとしか思えないのが、農業者年金基金のこのページである。期待収益率が1.8%は低いのではという問いに対し、現実的な数値を使って期待収益率を計算したら1.8%になったと答えているのだから。
P.S.
なんで厚生年金基金連合会は、こんなにハイリスクハイリターンなポートフォリオなんだろう。わからん。