社会福祉法人関連制度メモ

id:sakidatsumono:20050406 の三歳児神話*1ネタからホスピタリズム*2話になっているのだが、「社会福祉法人」について気にかかることがいくつかあるので、これを機にメモとする。たぶん学校法人にも似た問題はあるのではと思うのだが、そちらを調べたことはない。

  • 憲法89条で「公の支配に属しない」教育や福祉への公金の支出が禁止されている。本家ポリティカルコンパスに、「本当に恵まれない人を助けるためには、社会保障よりも慈善活動の方が役に立つ」(id:kanryo:20050222 さんの訳文より)という項目があるが、kanryoさんの脚注にもある通り、米国では民間の教育や福祉分野への寄付やボランティアが盛んだ。公は公で、民は民で、それぞれ教育や福祉に資源を注げ、というのが元々の条文の意図だった。
  • とは言え、実際に憲法どおりやったら、日本の教育や福祉は破綻するわけで、学校法人や社会福祉法人という、教育や福祉専門の団体に対して、そこに公金を投入する代わりに規制でばりばりに縛るという、憲法違反にならない公金支出方法が編み出された。
  • 社会福祉法人の設立には、多額の資産(最近緩和されたが)が必要。潰れる時は全財産を国か他の社会福祉法人に取られる。
  • 社会福祉法人は、補助金の使途などはかなり煩く問われる代わり*3に、福祉の質は問われないで来た。保育園や老人ホームなら市場原理の働く余地もあるが、児童養護施設などではそれも働かない。第三者認証等が言われだしたのも、介護保険発足あたりから。
  • 設立者の目の黒いうちはともかく、二代目・三代目がおかしなことをやらかす事例があるのは、一般中小企業と変わらない。
  • 感触として、社会福祉法人は潰せないと言う意識が、行政側にもある。

のびたさん曰く:

合計すると、約1割程度の養護施設で過去に施設内虐待などの問題行為が行われていた事になります。それと、問題が表沙汰になっていない養護施設もそれなりにあるでしょうから、2−3割程度の養護施設では、何らかの問題があるような感じがします。

ため息つくしかない数字だ。千葉県の児童養護施設で長年児童虐待が続いていたことが発覚した当時、70年代からそういう話が地元では出ていたという話を聞いたことがある。当時は子どもの人権に対する認識が低くて、表ざたにならなかったのかもしれない。社会福祉法人をめぐるこういった構造も、施設内虐待が多発する一因かとも思う。
そして施設にしろ里親にしろ、圧倒的に足りていないというこの現実。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/ansin/an3c0201.htm
そして毎年数十人の子どもが虐待で死んでいるという事実。
厚生労働省
だからどうしろってほどのアイデアはないのだが。

*1:三歳までは母親が育てないと取り返しの付かないことになる、という説。

*2:乳幼児に母性的養育が欠けると問題が起きること。三歳児神話の元ネタ

*3:理事長が死んだ途端に使途不明金9億5000万という謎の話もあるけれど。ƒz[ƒ€ƒy[ƒWƒAƒhƒŒƒX•ÏX‚Ì‚¨’m‚点