厚生年金の積立金の運用についての参考書

年金2008年問題―市場を歪める巨大資金
日経の書評を見て年金2008年問題―市場を歪める巨大資金に興味を持つ。書評を見た範囲では「そりゃアイルランドじゃ小国だしユーロ圏だし、海外株ばかりの運用もアリだろ」くらいにしか思わなかったのだが、幸いにもそんなツッコミで済むようなつまらない本ではなかった。ちゃんとそうツッコんであった。

西沢本の株式運用に対する記述にはわたしは不満があったわけだが、この「年金2008年問題」はその部分を補って余る情報を提示している。ツッコミを入れるとすれば、厚生年金基金連合会は既にコーポレート・ガバナンスファンド(PDF)を創設しているし、SRI(社会的責任投資)の有効性を主張する向きは、SRI投資はインデックスを上回ると主張している(実証例)という程度か。あとアクティブ運用しか念頭になさそう。たいしたツッコミじゃないけど。

HPO:個人的な意見 ココログ版: 公的年金に財産権は実在するか?で話題に上っていた件について、「アメリカでは給付は契約上の権利ではないと裁判所が判断」というショックな事例(P74,75)が紹介されていて興味深い。というわけでトラックバックを送信します。

さらっと読んだ範囲では第四章がよくわからない。例えば「国民所得制約と許容限度制約の導出」について、最初の条件である「完全雇用」でもう、「ええっそんな御無体な」とつまづいてしまう。なんかモデルを作らなきゃ議論にならんということは理解できるのだが。

最近、年金関係の本を読み出しているが、amazonで検索するといつも、tonny_さんがレビューを書いておられる。いつも的確な内容なのだが、プロフィールを見て納得する。