元少子化問題ヲタクはツッこむ

これは、国が高齢者対策として支払っている国家予算が総予算の48%を占めているのに対して、少子化対策に振り向けている予算が3〓4%にすぎないということなのです。他の先進国では、高齢化対策30%で、少子化対策10%くらいだと指摘していましたから、日本が高齢者に優しく、少子化に無関心な国であるというのは、どうも事実のようです。

まず 社会保障統計年報〈平成15年版〉 のP107のグラフとP510の表によれば、

  • 日本は高齢者に47.85%、子どもに3.14%支出し、出生率は1.32*1
  • 米国は高齢者に42.56%、子どもに2.82%支出し、出生率は2.01
  • ドイツは高齢者に30.23%、子どもに9.03%支出し、出生率は1.40
  • スウェーデンは高齢者に36.44%、子どもに10.53%支出し、出生率は1.65

国が子どもにいっぱい金を出すかどうかと、出生率が高いかどうかというのは別の話だ。

次に、高齢者への給付が高いということと、高齢者を大事にするというのは別の話である。1997年から2001年にかけての短期間ですら、高齢者への給付は30兆から39兆に急増し(P94参照)、社会保障給付費に占める割合は43.7%から47.9%に増加した。これは、この間に高齢者を大事にするようになったからではなく、高齢者が激増したためである。

最後に、社会保障給付費だけをもって、子どもへの社会保障を測るのは誤っている。

  1. 日本の児童手当(子ども一人当たり5000または10000円)は、西欧諸国(子ども一人あたり15000円前後)に比べれば見劣りする(P552参照)。しかし、子どもの所得控除は抜群に厚い。英米の10万円に比べれば38万円。ドイツでは、児童手当と所得控除の片方しか選べないし、スウェーデンには所得控除はない。さすがにフランスのN分のN乗方式には勝てないが。この所得控除がどの程度の手当てに匹敵するかは、http://www.housemate.co.jp/own/kakutei3.htmlを参考にして、控除額に税率を乗ずれば求められる。
  2. 公的保育がここまで整備された国は、日本以外には北欧くらいしかない。旧共産圏ではかつて保育が整備されていたが、民主化と同時に崩壊してしまった。その北欧ですら、コストが高い0〜1歳児保育はまったく整備されていない。
  3. 日本は飛び抜けて、税制面では配偶者特別控除、年金では第三号と、育児に重きを置く妻への優遇措置が厚い。これらは既婚女性の就労への足枷となっていることで知られているが、育児のために就労を控えている母親にとってはありがたい制度であることは事実だ。



上記記事に自分で突っ込んだものを[少子化]昨日の自分の記事に突っ込んでみるに書きました。あわせてお読みください。

*1:2002年