財政再計算の内容を評価する(その4)

おととい(id:sakidatsumono:20041101)の続き。出生率編。
まずはH9の予測の問題点から。低位水準は、もっとも出生率の低いグループである、東京都の短卒以上の学歴を持つ女性の平均初婚年齢が、1980年生まれの女性の平均初婚年齢となり、これ以上平均初婚年齢が遅くならない、という前提になっている。だが、「短大」ではなく「四大」の平均初婚年齢は、更に5年ほど遅くなるのだ。そして高校を卒業した女の子が、短大へ進学する割合は減り、四大へ進学する割合は増えている。これで平均初婚年齢が30を超えない(英国では超えている)わけがないし、短大進学率の減少は目下進行中なのだから、それまでは平均初婚年齢は下がるであろう。。正確な数字は、日経ビジネスの2001年12月17日号の投書欄を参照してください。本名と年齢ばれるけど。:-P

H14の予測の問題点であるが、前提条件がきちんとわからない、というのが一番の問題点。H9の予測は前提がいろいろ細かく書いてあった。が、H14のは、1985年出生コーホートで27.8歳というのはわかる。下げ止まるのは2000年出生コーホートだというのに、ここで何歳なのかとは書いていない。(http://www.ipss.go.jp/Japanese/newest02/2/suikei_m.html)
02/01/30社会保障審議会第5回人口部会議事録で、


 そうして得られた平均初婚年齢、生涯未婚率に基づいて、1985年生まれの人々、さらに2000年生まれの人々に関して将来の初婚率を推定しております。
と高橋人口動向研究部長は説明しているのだけど、資料のどこにも1985年はあっても2000年は見当たらない。どうしてこれだけ豪華なメンバーなのに、誰も突っ込んでくれないんですか、人口部会。

議事録を見ても、エイヤで決めている部分が相当ある部分は押さえておくべき。もっとも、一組の夫婦が作る子どもの数が減り始めたのは最近(前回の推計の時はまだこの現象が発生していない)なので、こうなってしまうのは理解できるけど。