少子化議論流行中

昨年末の少子化対策白書の発表を受けてか、新年から新聞各社は少子化特集を組んでいる。かつて少子化対策意味なしとの結論を下し*1少子化オタクを引退した身としては、「おなかいっぱい」な気分である。巡回しているblogにも少子化ネタが多く見られるようになったが、不勉強かつ実感のない記事が多くて参考にならない。面白かったのは、このくらいか。

日経新聞の新春特集を愛ルケ*2同様ばっさりぶったぎる
http://nikkeiyokyom.ameblo.jp/entry-09adcbb4dd40e9f126f063a34c15c418.html
これ以上自分の時間を削られてはかなわんからだと断ずる(コメント欄も面白い)
出産育児手当は少子化対策になる…わけねーだろ: R30::マーケティング社会時評
ニュースメモ(2005/1/2-2005/1/8) - socioarc経由。子どものいない老女をランダム抽出してバトルロワイヤルと言い出す(ネタとしては面白い)
http://www.nwj.ne.jp/members/articles/20030813/OJ_colm.html

さてライフプランの破綻 life plan?: HPO:個人的な意見 ココログ版にコメントしたところ、管理人のひできさんからハードなリクエストが寄せられたので、素人エコノミストの分際で答えてみようと思う。

  • 日本国が多額の財政赤字を抱えているということは、日本は経済的価値を生み出していないと言うことか?

→ 答えはNO。日本が生み出した経済的価値を定義しているのは、GDP(国内総生産)という指標だ(詳細はこちら)。日本のGDP、つまり日本が生み出した経済的価値は約500兆円(詳細はこちら)になる。

  • 財政も家計も赤字と言うことは、人口の増減は問題ではないのか?

→ 答えはNO。経済成長率を決めるのは、労働人口の増減と生産性の伸びだ。生産性は、年に2,3%程度伸びる(であろう)。しかも年々低下気味になると思われる。生産性の伸びを打ち消すほどに労働人口が減れば、経済成長はマイナスにならざるを得ない。

  • 家計も行政サービスも、受益過多ではないのか?

→ 答えはたぶんない。支出に見合った収入を得ていない、という意味ではYES。でも経済は生き物であって、支出減 → 景気悪化 → 収入減 → 支出減(以下、延々と繰り返し) となっては元も子もないという意味ではNO。もっとも、財政難だと将来の増税に備えて貯蓄が増えるという、リカードの中立命題という話(参考リンク)もあるので話はややこしい。

  • 借金なしでは財政も家計も立ち行かないのか?

→ 借金にも程度がある。経済成長に見合った程度の借金ならばOK。例えば個人でも、借金300万を抱えた年収300万の人が出世して、借金も年収も3000万になるのなら、借金が増えても問題にはなるまい。問題なのは、年収が400万とか500万にしか増えていないのに、借金が3000万になるようなケース。

  • 家計の破綻や財政の破綻の直接的な影響は、円安だけなのか?

「直接的な影響」というのがよくわからない。自殺の増加は家計の破綻増加の影響だろう。財政が破綻すれば、金利は急上昇し、物価も高騰するだろう。治安も悪化するだろうし、公的福祉は崩壊するだろう。

*1:興味がある人は、左上の検索ボックスから、少子化で過去記事を検索してください。

*2:渡辺淳一が日経に連載している「愛の流刑地」というアダルト小説。