フランスの保育事情について

フランスの保育事情について、出産育児手当は少子化対策になる…わけねーだろ: R30::マーケティング社会時評のコメント欄で話が続いている。少々込み入った内容になるので、トラックバックすることにした。

以下の内容の参考文献はこちら。

諸外国における保育の現状と課題

諸外国における保育の現状と課題

少々古い本だが、わたしが少子化オタクだったのは20世紀のことだからだ。21世紀になって大幅に状況が変わっているようなら、参考書やリンクをお知らせいただきたい。

以下に、フランスで提供されている保育サービスを紹介する。

  • 集団保育所(creche collective): 三歳未満児を保育する。日本の保育園に相当。
  • 一時託児所(halte-garderie): 六歳未満児を保育する。日本で言うところの一時保育を担当。
  • 家庭保育所(creche familiale): 日本で言うところの保育ママ。集団保育所や一時託児所と連携している。
  • 幼児園(jardin d'enfants): 二歳以上児を保育する。
  • 母親学校(ecole materenlle): 基本的には三歳以上児を保育するが、二歳児の三分の一も通う。日本の幼稚園に相当。
  • 託児所(garderie): 母親学校の子を放課後預かる。日本なら幼稚園の預かり保育に相当。

とラインアップは確かに豊富だ。

しかし、三歳未満児を預かるキャパシティは貧弱だ。フランスでは一年に、70万人強の赤ちゃんが生まれる。六歳未満の子どもを持つ母親の三分の二、三歳未満の子どもを持つ母親の半分強は職業を持っている。なお三歳未満の子どもを持つ母親の一割強は休職中。ということを念頭に、下記の表を見ていただきたい。

保育形態人数
集団保育所126800人
一時託児所60100人
家庭保育所65300人
幼児園11800人
母親学校公立221万人、私立31万人
数十万人分、保育サービスの供給が足りないのである。これを埋めているのは、いわば無認可の保育ママである。41万人の三歳未満児を預かっている。

以下の内容の参考文献はこちら。

母子関係障害という“病気”―赤ちゃんの顔を見ない母親 (カッパ・ブックス)

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  • 作者: ジャン=マリデラシュー,Jean‐Marie Delassus,永島章雄
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読み返してみたが、あんまり日本もフランスも、母親の煮詰まり方は変わらんなというのが正直な感想。救急センター母子サービスは確かにうらやましいが、どの程度のキャパシティがあるか不明。メゾンヴェルトは日本にないというが、http://www.parkcity.ne.jp/~m0123hap/って日本版メゾンヴェルトじゃないのか? そんなにフランスの政策は羨ましくない。父親に二週間の産休が出来たというが、日本だって父親は、最低でも産後8週間の育児休業を取る権利があるのだから(参考リンク)。

フランスの少子化対策状況で、わたしが日本と違うなと思った点は、上記にあげた本には出てこない。

  • 以前から、「人口=国力」という認識が国民の間に浸透しており、「子どもを産ませる政策」に抵抗がない。
  • バカンスにはちびは連れて行かないらしい。
  • 育児や家事サービスのかなりは移民がやっているようだ。
  • 日本ほど労働時間が長くない

意識の話についてはまた日を改めて。