市場原理は悪者か

この頃、ソフトウェア工学ヲタクになりつつある。一年位前に、会社がプロジェンクトマネジメントのe-learningを社員全員に受講させた。それと現実のあまりの落差にショックを受けたし、受講時点以降むしろ、どんどん仕事の流れが教育内容から遠ざかって行くのにむしろ愕然とした。で、本を読めば本を読むほど、開いた口が塞がらない。残業しても一ヶ月あたりの仕事量は増えないとか、開発者一人のフロア面積と生産性には強い正の相関があるとか、仕事には優先順位を付けないと潰れるとか、見積もり手法のいろいろだとか書いてあるからだ。どれも日ごろ見るのはその逆の現象。その挙げ句にこういうことになるわけで。
http://www.mars.dti.ne.jp/~hirok/xp/col/031.html
類似現象はIT業界のあちらこちらで起きている。
http://biz-inno.nikkeibp.co.jp/mentalhealth/article20050210.shtml
ここのコメントに『企業の「もうけ主義」が問題なのです。』とあるが、これはずれていると思う。この記事にもあるが、米国のほうが日本より、IT技術者の労働時間は短い。「もうけ主義」については遥かにシビアなはずの米国で。給与も米国のほうが良い。一度、米国の給与試算サイトで計算したところ、カリフォルニアに行けば、給料が今の三倍になると知って愕然とした。
翻訳本を見ていて目立つのは、「離職率の高さによる生産性低下を防ぐには」という論調だ。デスマーチが続いても、会社を辞める人が特に多くなったという感触はない。日本ではみんなギリギリまで頑張ってしまうから、上も生産性向上のための施策も打たずにこき使う。市場原理は労働者と雇用者の間にも働くのだ。
で、ソフトウェア工学の本を読んでいると、安直に独立したくなってしまうのだが。でも独立した知り合いで成功した例も知らない。うーむ。